エーダイのF1シリーズです。デカールが剥がれ始めています(笑)
オートスポーツ1977年6-15日号の連載「F-1マシン・ストーリー」の第六回でウルフWR1が取り上げられていました。筆者は望月修氏。個人的に興味深かったのはノーズのくだりです。
「76年も終わりに近づいた11日9日、ロンドンのロイヤル・ランカスター・ホテルで発表された初代モデルは、フロントウイングとスポーツカーノーズを組合わせた点からも、ボディ・サイドの大きな曲面など、308シリーズとの共通性を感じさせる。」
「308 シリーズとの共通性…」というくだりは、WR1をデザインしたのが、ヘスケス308シリーズで実績を上げたデザイナー、ハーベイ・ポストレスウェイトだっ たからです。ヘスケス308、そしてそれを改良したウイリアムズFW05は、スポーツカーノーズの前にウイングをつけるという形状していました。発表時の WR1も同じスタイルを取っていました。
オートスポーツ1977年1-15号の表紙がまさに発表時のWR1です。「フロントウイングとスポーツカーノーズを組合わせ」ているのがわかります。
「延べ11時間におよぶ風洞実験」「そして、その数倍におよぶ時間を費やして、コンピューターによるデータ分析が行われた」
「ところが、シェイクダウン・テストでは、空気抵抗、ダウンフォースの両面で満足な結果が得られなかった。ノーズ部分の整形に関してはかなり気を配った積りのはず、実走行テストでは見事に期待を裏切られてしまった。フロントのダウンフォースが少なく、そのためアンダーステアに悩まされ、その対策にフロント・ ウィングの仰角を増すと、今度はスポーツカー・ノーズとの干渉で著しく空気抵抗を増してしまうのである。」
「タイレル007風のスポーツカー・ノーズはまったく無用の長物どころか、かえって有害であるとの結果になった。」
結局、WR1はスポーツカーノーズを取り去り、ウイングノーズでデビュー戦を迎えます。そして初レースで優勝を飾ります。
個 人的にはスポーツカーノーズのF1マシンが大好きなのですが、残念ながら「彼ら」はこのあたりでその役割を終えることになります。スポーツカーノーズの F1が最後に優勝したのは1976年イタリアGPのマーチ761(この話はミニチャンプスのマーチ761の項にも書きました)。1977年にはタイレル P34、サーティーズTS19、マーチ761B、ルノーRS01(たぶんオランダGPのみ)、コジマ009とかろうじて残っていましたが、1978年の ニューマシンにスポーツカーノーズのF1マシンはありませんでした。